出会いフロンティア

不倫の果実

不機嫌な果実

林真理子の小説作品及び、それを原作にして制作されたドラマ・映画である。
ドラマ版は1997年10月9日?12月18日にTBS系列で放映された石田ゆり子主演で放送。
脚本は中園ミホ、小野沢美曉。不倫がテーマであり、石田ゆり子と渡辺いっけいが夫婦という設定で、共に不倫をしている。
全11回、平均視聴率14.7%。映画版が同年に公開されている。
三十二歳のヒロイン、水越麻也子は、結婚六年目の夫に不満を抱き、昔の恋人野村と不倫の逢瀬を重ねていた。
だが歳下の情熱的な音楽評論家、通彦との恋愛で、麻也子は大きな決断を迫られることになる…。
「不倫」という男女の愛情の虚実を醒めた視点で描いて一大社会現象を巻き起こし、TV・映画化された、恋愛小説の最高峰。
夫以外の男とのセックスは、どうしてこんなに楽しいのだろうか。
倦怠にとらわれた人妻・麻也子は不倫の試みを思い付いた。彼女には不倫する正当な権利があった。醒めた視点で語られる痛烈な恋愛小説。

イソップ童話のよう

林真理子の描く女性は、かなりの美女だけれど内面が外見に伴わない人が多い。
麻也子もそんな女性の一人。我が儘で計算高く、「自分はいつも損をしている」と思っている、被害者意識の強い女性。
同じことを繰り返していく、精神的成長のない愚か者。この小説はまるでイッソップ童話のように皮肉と教訓に満ちている。
林真理子は美人に偏見を持っているようにも思える。
いくら外見が美しく男性の目を引き付けても、中身がなければ真の幸せを得ることはできないのよと、笑っているようでもある。
しかし、主人公に対して違和感を覚えさせながらも、読者を物語の中に引き込み一気に読ませてしまうストーリー展開。
性描写などはまるで妄想の域に入っている。娯楽小説として、楽しめると思う。

成長しない

林さんは”計算高いのにおバカさん”なヒロインを描くのが実にうまい。
こんだけ自分が可愛い人間がどうしていつも”損”をしているのだろう。
”損”と言っても自分レベルで勝手にそう思い込んでいるだけで決して本物の”不幸”に見舞われているわけではないので、全くもって可哀相ではない。
無用なプライドと” 損をしている”という感覚から逃れられず、一向に成長しない。
しかし、成長しちゃったら林ワールドのヒロインじゃなくなる~。きっと成長することのない”自称いい女”こそが、林ワールドを担う重要なヒロインなのだ。欲張りはほどほどに。

悪女

「夫と姑に対する不満から不倫に走る」というのは不倫ドラマの定番。
麻也子は1つ願い事がかなえられると、その現状に満足できなくなり、新しいモノを欲しがる。どんなに食べつくしても満腹になれない。 人間の際限ない欲望をよくあらわしている。
主人公は常に不満を持っている。恐ろしく自分中心に世界が回っているところや、それに気づかず限界を知ることなく自分に都合よく解釈し欲望に流されるところ、どんな場面でも頭を働かせて自分の立ち位置を確保する狡賢さ、などが女なら多かれ少なかれ共感を持てるところだろう。
この性格につきあいながら、段々とそれが色濃くなっていく。
夫からは女として見られず、セックスを拒まれ、姑はうるさい。隣の芝は青く見える、自分から求婚を断った醜男でも金持ちの弁護士だと突然惜しくなる。彼の婚約者に会ったこともない癖に先入観でいちゃもんつける。
彼女のストレス、鬱屈はどんどん、たまってゆく。
自分に関心をもってくれる男が好きなのであり、本当は自分自身はどの男も愛せていない。そして「私って可哀想」と思ったりする。
しかも、出てくる人物はみんなそこそこ金持ち。バブル。トレンディドラマ。
主人公の麻也子はかなりの悪い女。物語の流れは麻也子ひとりの感情で動いている。働くことに疲れて寿退社・平凡な夫に嫌気がさして不倫・不倫相手はキープしつつ、情熱的な若い男に恋をして・離婚に踏み切ったのはいいけれど・情熱的な恋人も結婚したら重荷な夫・キープしていた不倫相手で空虚を満たす。 二兎どころかなんでも欲しいし、何よりも自分がかわいい。人とくらべて自分が劣ってるなんて絶対認めたくない、その上保身も大切。
嫌なもの・見たくないものを見せられている感じがするが、バブル以降の日本人女性の人間の黒い部分の姿かもしれない。

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